▮はじめに
私たちは日々、家族や友人、職場の仲間など、さまざまな人と会話をします。しかし、「話すこと」には意識を向けても、「聴くこと」を意識している人は意外と少ないのではないでしょうか?
実は、「聴き方」は良好な人間関係を築くうえで最も大切なことだと、これまでの失敗だらけの経験を通じて学びました。
▮話すことばかり意識していたサラリーマン時代の失敗と新たな気づき
私自身、話すことが好きな方で、特にサラリーマン時代はその傾向が顕著でした。
一方的な学びの場では「良い聞き手」になった時もあったが…
尊敬する上司の話や著名人のセミナーでは、できるだけ前の席に座り、うなずきながらメモを取ったり、積極的に質問をしたりしていました。一見すると「良い聞き手」でしたが、これはあくまで一方的な学びの場での話です。
会議では「話すこと」「意見を通すこと」ばかり優先
会議になると、自分の意見を通そうとするあまり、相手の話を最後まで聞かずに反論したりしていました。特に、現場の代表として参加している場合、多くの人の意見を背負っているという責任感もあり、「何とか意見を通さねば」といろいろ作戦を立てて臨み、論破することに力を注ぐことも多かったです。
「聴く」より「アドバイス」
少人数の打ち合わせや1on1ミーティングでは、相手の話を十分に聞かず、「こうした方がいいのでは?」とすぐにアドバイスしてしまうことが時々ありました。もちろん、相手のためを思ってのことですが…
結果として…
・現場から頼りにされる反面、会議の主催者には「うっとうしい」と思われることもあった。
・「話を聞いてほしいだけ」の人に対しては、アドバイスを押し付ける形になり、相手を不快にさせることもありました。
今思えば、「聴く」の漢字が示すように聴くことの行為を全うせず、自分が考える良い方向へ無意識にコントロールしようとしていたことを今更ながら反省しています。
▮「訊く」ことの重要性に気づいた体験
50代半ばで222名の組織を任されたとき、これまでのやり方を変えてみました。
トップダウンではなく、「訊く」スタイルに
以前なら、自分で施策を決めて、それをメンバーに伝えるだけでした。
しかし、試しに10名ほどの部所長に「どんなアイデアがある?」「どうすればより良くなる?」と質問をしながら、一人ひとりの意見を集め、みんなで施策を作り上げる形に変えたのです。
すると、予想以上に良いアイデアが集まり、一人でつくるより実践的で効果的な施策ができました。
「訊く」ことで生まれた変化と成果
①部所長が施策の策定に参画することで、「自分事」として受け止めるようになった。
②部所長から部下への伝達は意図を踏まえて心を込めて伝えるようになった。
③その結果、組織全体のモチベーションが上がり、施策の成果も大きく向上した。
この経験を通じて、「訊く」ことの大切さを実感しました。
▮これから意識する3つのこと
まだまだ「聴き方」は未熟ではありますが、少なくとも3つのことは意識して
習慣になるよう「聴き方」を磨いていきたいと改めて思いました
①相手に関心を寄せ最後まで聴く(聞いているシグナルを出す)
・地位や年齢に関係なく、相手の話や沈黙にも耳を傾ける
・話の途中で口を挟まず、最後まで目を見て心で聴く
②意見が違っても相手を否定しない(違うことが当たり前)
・「正しい・間違い」ではなくただの「違い」と捉える
・「なぜそう思うのか?」を質問し、理解しようとする
③望まれないアドバイスはしない(コントロールしないで本音を引き出す)
・答えを誘導したり、相手の問題を解決しようとしないで、主導権は相手に渡す
・「どうしたいと思う?」「どれぐらいできている?」とオープンに問いかけ、自己評価を促す
人間には口が1 つ、耳が2つなのは話より 2 倍多く聞くためと思って、話すと聞くの割合を3:7ぐらいを意識したいものですね
2025.3.1 by M.Tamura