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3つのCSと「カスタマーサクセス」

最初のCSは、皆さんもよくご存じの 顧客満足(Customer Satisfaction) です。

2つ目のCSは 競争優位(Competitor Surprise)。これは「他社が驚き、諦めてしまうほどの顧客価値を創り出す」という意味です。マーケティングの基本である競争優位を、あえてCompetitor Surpriseと呼んだのは、1998年ごろ私が勤めていた会社の社長(桜井正光氏)でした。「ただの顧客満足では不十分。ライバルが驚き、追随を諦めるレベルでなければならない」という思いが込められていたと、先輩から聞きました。私はその言葉に共感し、その頃から得意げに使っていました。

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そして3つ目は 顧客成功(Customer Success)。こちらは同じ時期に、私自身が考えて名付けたものです。

当時、私は本社の販売戦略部門に所属しており、時代は高度成長から低成長へと移行し始めていました。シェアNo.1を追う戦略から「CS No.1」へと軸足を移す転換期です。

JDP社の顧客満足調査を徹底的に分析し、全社でCS向上活動に取り組んでいました。

その結果、顧客満足度No.1は獲得できましたが、どこか枝葉にとらわれているような違和感が残ったのです。

 

「顧客満足の究極とは何か?」――そう自問するなかで思い至ったのが、BtoBでは顧客自身の事業が成功すること、さらに 顧客の“その先の顧客”に価値を生み出せること こそが本質ではないか、という考えでした。そこで「カスタマーサクセスこそ3つ目のCSだ」と確信したのです。

顧客が成功し成果を上げれば、必ず自社の成果にもつながる。そのためにはまず「顧客が顧客の顧客にどんな価値を届けようとしているのか」を理解することが出発点だと考えました。

 

その後、まずは仲間内で「カスタマーサクセス」を広め、2005年には自ら率いる小さな事業部(222名)でスローガンとして掲げました。やがて広がりを見せ、2010年には全国の販売会社が統合してできた新会社のビジネスコンセプトに 「Customer's Customer Success ~お客様のその先のお客様にまで届く価値を創出する~」 として採用されました。私は当時大阪勤務でしたが、知人が一歩進んだ形でこの考えを活用してくれたのです。今の社員にどれだけ思いが伝わっているかは少し気がかりですが…。

 本

最近、マーケティングを改めて学び直す中で、サブスクリプション型ビジネスの解約防止手法として「カスタマーサクセス」が紹介されているのを目にしました。調べてみると、この考え方はアメリカ発で、日本には2018年、ニック・メータらの翻訳書『カスタマーサクセス』を通じて広まったようです。


その本が伝えているのはシンプルなことです。

「売って終わり」ではなく、顧客が使い続け、成果を出すことこそが利益につながる。そのためには、顧客が早く・確実に・継続して成果を感じられるよう、能動的に支援することが解約防止の本質だということです。考え方としてはほぼ同じことですが、より細かく実践的な10の原則が紹介されています。その後日本でも関連本が数々出ているので、興味のある方は読んでみてください。

 

最後に、改めて3つのCSを振り返ると――

Customer Satisfaction(顧客満足)を土台に、

Competitor Surprise(競争優位)で他社にない価値を築き、

Customer Success(顧客成功)で顧客とその先の顧客の成果を支え続ける。

この三位一体の取り組みこそが、回りまわって、(いま思いついたのですが…)最終的には Company Success(自社の成功)のCS につながるのではないでしょうか。


この要素はサブスク型に限らず、顧客との長期的な関係が必要なあらゆるビジネスに通じる視点だと感じています。もちろんビジネスの成功だけでなく人生の成功にも応用可能だと思います。


マーケティング用語は数多くありますが、シンプルに3つのCSで自社や他社の戦略を眺めてみると、新しい発見があるかもしれませんね。


2025.9.5 By M.Tamura


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