
以前、このブログでご紹介した撮り鉄先輩のこと。
先日、この先輩を含めたメンバーで、ささやかな新年会があった。
LINEでは「元気だ」と来ていたものの、このところ撮り鉄サイトへの写真投稿数が減っている。
「どうしたのかなあ?」と少し心配していたこともあり、いろいろと話を聞くことになった。
「今、メチャクチャ忙しいねん! 週休2日はとるようにしてるけど」と先輩。
「なんか新しく仕事、始めはったんですか?」と私。
「アルバイトは今まで通りやけど、とにかく写真で忙しいんや! 新しいカメラも買ったし……」
「ええ~、前にお会いした時にもカメラ買った言うてはりましたやん?!」
「こんだけハードに撮ってたら、傷むのも早いやろ。なんちゅうてもメーカーキャンペーンでキャッシュバックが大きかったからなあ」
「このところ、サイトへの投稿数も減ってるし、“いいね”が付く数も減ってるように思うんですけど……」
「そやねん。どんな写真がウケるのか、実験しててん。
ほんで分かってきたんやけど、自分がホンマに撮りたい写真と、ウケる写真はちゃうということやな。珍しい車両、珍しい状態の写真は、やっぱりウケるわなあ」
「なるほど……。“いいね”が多いのは、確かに『こんな車両が撮れましたよ』的な写真が多いですね。列車そのものを撮ってる、という感じで」
「この写真、見てみ」と先輩はカメラを取り出した。
それは、夕日をバックに逆光で、淀川の橋梁を走る通勤電車を、少し離れた位置から撮った一枚だった。
「走っている列車の窓から、座っている人、立っている人、一人一人がはっきりシルエットで映ってるやろ。この写真を撮るのは、相当な熟練と技術が要るんやで」
「なるほど……」
「ほんでな、夕方の車内や。家路についてる人もいるやろう。“今日一日頑張ったなあ”とか、“今日の夕食は何やろう”とか、“早く帰って子どもに夕食作ってあげなあかんけど、何を作ろうかなあ”とか、“彼(彼女)とケンカしてしもた……”と涙ぐんでる人とか……。みんな、いろんなことを思いながら、ここに乗ってるわけや」
「なるほど……」
「そんな物語がある写真、ええと思わへんか? そやけど、それは“ウケる写真”とは違うねん。自分よがりかもしれんけどな」

先輩は、映画『寅さん』の大ファンで、何度も映画館に連れていってもらった。
まるで寅さんの語りが、目の前の先輩の口から流れ出ているような気がした。
先輩の上質世界にある鉄道写真は、列車そのものだけを撮ったものや、カッコよさだけを狙った写真ではないのだ――そんなことを垣間見た思いがした。
一部の撮り鉄の方が、ウケる写真や映像を撮ろうとして、
「線路に入り込む」「私有地に勝手に入る」、先頭車両で子どもを押しのけて前方の景色を撮影する、車内やホームで周囲の人のことを気にせず撮影や録音をする……といった行動をとり、結果として撮り鉄全体のイメージを落としてしまうことがある。
撮り鉄といっても、本当にいろいろ。
上質世界には、その人らしさや人間性が、確かに現れるのだなぁ。
By. H.Taniguchi




