南国特有の鳥のけたたましいさえずりと、道を掃くほうきの音で目覚める、まだ薄暗い朝6時。
ベランダから眺めるのは、すっかり見慣れたうっそうとした森。
宿舎の庭には、甘い香りのプルメリアと、実をたわわにつけたバナナの木。
そんな風景を思い出しながら、バリ島での4週間の語学留学から戻って、2週間が経ちました。
今年2月までに、95歳と91歳の両親が相次いで他界しました。
寂しさに浸る間もなく迎えた3月の出発。
留学を決行するか、迷いがなかったわけではありません。
しかし、介護の日々を通して、
「人生でやり残したことを数えて後悔することだけはしたくない」
と強く感じたのです。
そこで私は、自分のこれからの人生でやりたいことを二つに絞りました。
一つは、体が動くうちに、行きたい場所へ行き、やりたいことをすること。
もう一つは、長年どこかぎくしゃくしている夫婦関係を見つめ直し、より良いものにしていくことです。
今回の留学で得た大きな収穫は、主に二つありました。
一つ目は、「自分でやりきる力」への自信です。
計画の段階から、スケジュール管理やアプリでのチケット購入など、69歳の私にとっては決して簡単なことではありませんでした。
それでも一つひとつ乗り越え、すべて自力でやり遂げることができました。
空港でのセキュリティチェックは、何度経験しても緊張の連続です。
今回も例外ではなく、機内持ち込みバッグがチェックに引っかかり、再度の確認に呼び止められました。
なぜか毎回のように引っかかってしまう私ですが、今回も危険物は何も見つからず、ようやく通過。
けれども不思議なことに、そんな状況にもすっかり慣れてしまい、
「ああ、またですか」
と落ち着いて対応している自分がいました。
そして到着2日目、買い物に出た街中で迷子になるというハプニングもありました。
とっさに近くの花屋に飛び込み、なんとか宿舎まで送り届けてもらうことができました。
そのお店の店長さんと思われる女性はインドネシア語しか話せず、私も言葉が通じない中で、必死にジェスチャーを交えながらコミュニケーションを取りました。
それでも彼女は「何とかしてあげたい」と思ってくれたのでしょう。
親身になって助けてくださったその姿に、胸が熱くなりました。
この出来事を通して、
「何とかなる」
という自信を、これまで以上に得ることができました。
そして同時に、バリ島の人々の優しさに触れ、心から感動した瞬間でもありました。
二つ目は、「孤独の時間の意味」に気づいたことです。
一人で過ごす時間の中で、時折感じる孤独。
しかしその時間は、決して寂しさだけではありませんでした。
むしろ、これまでの人生を静かに振り返り、
「よくここまで頑張ってきた」
と自分自身を認める、大切な時間となりました。
それは、自宅でゆったりと一人で過ごしていても決して得られない、
“完璧な孤独の時間”だったのです。
もし、留学をしてみたいと思っているシニアの方や、一人旅に少しでも興味がある方がいらっしゃるなら、ぜひ一歩踏み出してみてほしいと思います。
私のこの経験が、ほんの少しでも背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
次回は、もう一つのテーマである「夫婦関係」について、私なりに取り組んできたことや、その中で感じたことを書いてみたいと思います。
留学での詳しい日々の様子や費用、週末のリゾートでの楽しみなどについては、娘が私へのインタビューを通してnoteに綴ってくれています。
ご興味がありましたら、下記のURLからぜひご覧ください。
https://note.com/non_non19/n/nedc14a90c656
By R.Iwase





