2016年の地震から10年。復興の途上で再び大きな地震に直面した熊本からの報道を見るたび、胸が痛みます。
定年まで在職していた職場からは、支援のために職員を派遣したと聞きました。
募金や熊本産の特産品を購入するなど、大阪にいてもできることに取り組んでいきたいと思います。
自然災害の猛威を前に、私たちが自然に対して持つべき「畏怖」の念について、改めて考えさせられます。
さて、今日8月11日は『山の日』です。
2016年に制定されてから今年で11年に。
当初は「海の日があるのだから山の日も・・・」という印象で、なんとなく違和感をいだいたものですが、すっかり定着したようです。
今、世間はちょっとした山ブームのようです。
多くの人が気軽に山へ登るようになりました。
その一方で、私は次第に山から遠ざかるようになっています。山に登る人たちであふれる場所を避けているのです。
かつて所属していた山岳会では、若い頃から徹底的に鍛えられました。
オールラウンドの山岳会でしたが、基本となるのは縦走登山です。
まず求められたのは「荷物を担げるようになること」。
重い荷物を担いで歩き続け、岩場を登り、岩場を超える。
近隣の山行であっても、女性会員で15㎏、男性で20㎏を超の背負いが必須でした。
荷物が軽いと「水」を持たされます。1ℓ=1㎏のペットボトルを、何本もザックに詰め込まれたものです。(今はこんな山岳会はありません。
もしあったとしたら、誰も入会しないでしょうね。)
六甲山系の百丈岩・蓬莱経・不動岩でのロッククライミング訓練、六甲山でのアイゼン歩行訓練。滋賀の比良山系では、夏は沢登り、冬は雪山訓練(当時はよく雪が積もったものです)。
それほど鍛えても、山は厳しい存在です。
先輩からは常に
「行きたい山と、登れる山は違う!!」と言われ続けていました。
所属山岳会は違っていましたが、一緒に厳しい合同訓練を受け、テントで語り合った仲間が、冬の白山で遭難死したこともありました。
体力・技術、共に強い人ではなかっただけに「なぜあの人が冬の白山などに行ったのか?そんな無謀なことを・・・!」と絶句したのを覚えています。
南アルプス北岳では、動けなくなった登山者を山小屋まで数人で搬送したこともありました。
“毎日登山”で有名な六甲山でも死亡事故は起こるのです。
ひるがえって今、多くの人が気軽に山に登っています。
まるで山に行くことが一つのファッションであるかのように。
専門の装備よりもウェアの見た目を気にしながら。どれだけの装備を持っているのかと疑うようなペッタンコのザックを背負って。
警察庁の発表によると、昨年の山岳遭難は3,122件(前年比+176件)、遭難者数は過去最高の3623人(前年比+266人)に上るといいます。
山に親しむ人が増えること自体は、良いことだと思います。しかしその一方で、山のルールを知らない上に、マナーの低下は目を覆いたくなるものがあります。
そして何より、山の怖さを知らない。厳しさを知らない。自分の体力・技量を把握していない。
山は非日常の世界です。
どこか山を甘く見ているように思えてならないのです。
私自身、また山に登りたいと思っています。
けれど、自分が知っている山とはすっかり様変わりしてしまいました。
山そのものを味わいながら登れる場所は、もうないのでしょうか?
山ブームの、いつかは落ち着く時が来るのでしょうか。
その日に備えて、高齢者になっても安全に登れるよう、すっかりなまりきったこの体を、少しずつ整えておこうかと思っています。
By H.Taniguchi



