結婚当初から夫の転勤に伴い、青函トンネル工事、ボルネオ島でのダム建設、シンガポールでの地下鉄工事などの仕事で、様々な地域へ15回も引っ越しをしました。
シンガポール在住中に同じマンションに暮らしていた日本人学校に通う中学生に英語を教え始めたのが、ほぼ40年続く私の塾の始まりで、彼が記念すべき生徒第1号でした。
生後数ヶ月の長女を、その生徒のお母さんに抱っこしてもらって…(笑)
帰国してからも転勤先ごとに、その地域の子どもたちに英語を教えてきて、長男が中学入学を機に夫には単身赴任を選んでもらい、そして私たちは定住を決めました。
それ以来、自宅で少人数での塾を続け、幸いなことに、ここまでほとんど生徒を募集したことはなく、生徒の保護者さんからのご紹介で生徒が集まっています。
少人数でのグループというのが幸いしていると思いますが、保護者さんたちの口コミネットワークによって、「◯◯さんからの紹介です」とお聞きする度に、懐かしい子どもたちの顔が浮んできます。
生徒たちの中には、学校生活での決まり事に馴染めなかったり、朝起きが苦手で、いつも遅刻していて勉強が遅れてしまう子(朝起きられない原因のひとつには鉄分不足が考えられます。食事内容を見直す、サプリで補うなど試してみる価値はあります)
また、クラスでの喧騒や臭いが気になり、授業に集中できない子や学習が苦手で、質問をする勇気がない子、授業中もおしゃべりが止まらずまわりの子たちから浮いてしまい、友達ができないと悩む子、そのことで拗ねてしまう子、など様々な個性を持つ生徒が来てくれています。そして、いつも私の力量限界ギリギリまで生徒さんを受け入れ、ここまで満席となっていました。
最近は子どもたちひとりひとりに十分関わるために、体力と気力を考慮して、少し余裕をもって締め切るようにしています、
心理学を学ぶ必要を強く感じた1番目の理由(詳細はまたブログで紹介しますが)は学び始めた選択理論心理学で、「行動には必ず目的がある」という脳の働きを知ったことでした。
相手が大人であれ、子どもであれ「表面的に見える行動に目を向けるのではなく、その行動は何を求めて(目的)その行動に至ったのか?」を考えることができるようになっていき、今では習慣化してきました。
自分の満たしたい願望を満たすために「その時に考えられる最善のことをする。」その行動が周りからみたらどんなに間違っていると見えたとしても、それを理解することは、相手との良い人間関係を築くためにはとても大切なことです。
その子が言いたいことをうまく表現できなかったり、より良い願望の満たした方がわからない時、私達にできることは、「現れた言動に振り回されず、本当はどうしたいのか?」に耳を傾け、その子がよりよい人間関係を築けるように、願望を満たすための方法を一緒に考える手伝いをしていくことが必要だと思います。
そのために、保護者さんとの面談を大切にし、双方の期待することの理解やすり合わせ(期待の調整)と、お互いの協力体制を築く努力をしています。
そしてなにより私の立ち位置として大切だと感じることは、家庭と学校以外の社会で(いまでは残念なことに、ご近所コミュニテイがあまりアクティブではないように思いますが)"他人である大人"と安心して話せる環境であり続けたいということです。
塾を始めた当初は、子どもたちの考えていることがわからず、どう関わったらよいのかずいぶん考え込んだ私でしたが、「わかりたい!あきらめない。」と思い、子どもたちとの関わり方を探し続けてきた中で知った心理学は、今では人と関わる時の私の指針となっています。
「この人は本当は何を望んでいるいるのか?」を考えることで、相手の言動に左右されて気分が落ち込んだり、腹を立てたりすることがほとんどなくり、自分の生き方が楽になってきていると感じます。
30年学び続けてきて徐々に、「選択理論で生きる・・・自分は本当はどうなりたいのか?相手とどんな人間関係を築きたいのか?」それを基に自分の行動を選び、そんな生き方、考え方が身についてきたと感じます。
さて、最後にタイトルの「愛が欲しい!」と叫んだ男の子についてです。
男の子数名のクラスで、おしゃべりが止まらない、時に思ったことがすぐに口から出てしまう男の子がクラスのお友達から「愛に飢えているんじゃないの?」と問われ「愛が欲しい!お母さんとも仲良くしたいのに、一方的に怒られる!」と叫んだことがありました。
愛されたい、構ってもらいたいのに上手く表現できないので、友達にもお母さんにも過剰に絡んでしまうのでしょう。お母さんも面談の際には「私も過剰に反応してしまう。」と仰っていました。
愛に飢えているのでは?と見抜いた友達も素晴らしいなと思いましたが、友達のその言葉によって彼も自分が本当に手にしたいものに気がついたのでしょう。それもすごい!
これからどのように行動を選んでいくのか(今までとは違う行動を)また、「今から取ろうとしているその行動は、相手との関係を近づけるのか、遠ざけてしまうのか?」それらを彼が学ぶ手伝いをしていきたいと思います。
2024.10.31 by Ryoko